医療情報

このページでは、主な医療情報のリンクと一般的な耳鼻咽喉科系の疾病について解説します。

医療リンク

医療症例

咽頭喉頭疾患

喉頭とは、一般にのど仏と言われている部分を示す解剖用語です。喉頭が重要な臓器であるのは、それが声をだす基となる声帯を含んでいるためです。声帯は甲状軟骨(のど仏)という枠組みで囲まれており、外からの衝撃にある程度耐えられるようになっています。それでは喉頭に関連する一般的疾患を解説します。

反回神経麻痺

反回神経は別名、下喉頭神経で迷走神経の枝です。この神経の麻痺は声帯の運動麻痺を生じ、声帯麻痺の症例では嗄声、呼吸困難などの症状を呈します。原因として交通事故による外傷、食道癌の浸潤、甲状腺腫瘍、食道異物、自傷などがあり、まず専門医による診察から原因解明することが必須です。

声帯ポリープ

声帯は甲状軟骨という軟骨でできたフレームに守られていて、外からは全く見ることができない臓器です。声帯は筋肉とこれを覆う粘膜からなっていて、膜の様な構造をしています。この膜様構造が振動することで発声が行われるのですが、声の濫用、喫煙、局所の炎症により、広基性、又は有茎性の浮腫性腫瘤(良性)が声帯に生じる事があります。

喉頭癌

喉頭は声門を境に声門上部、声門部、声門下部に別れ、それらの部位に癌腫が生じた物を喉頭癌といいます。まず喉頭癌と病理検査で診断がつくと、病期分類のための検査が行われます。この診察過程は世界中同じで、この病期分類を行うことで癌の拡がりや、転移の有無を判別し、結果的にある程度の予後の判定(ステージ分類)が行われます。喉頭癌は圧倒的に男性に多く(10:1)、喫煙者でBrinkman指数が高い人(一日本数*喫煙年数が1000以上)に多くみられます。癌はすべてそうですが、早期発見、治療が大切です{基本的に進行して、ステージの高い症例では現治療法(外科的切除、化学療法、放射線治療)で完治は難しいからです}。

急性咽喉頭炎

喉頭粘膜の急性炎症で風邪の部分症状の事が多く、急性鼻炎も合併することが多い疾患です。ウィルス感染が主体で、インフルエンザ菌、肺炎球菌、ブドウ球菌の合併感染も生じやすいのですが、抗菌剤の投与と吸入により数日、数週で完治します。しかし一部慢性に移行するケースも見られます。

声帯炎

上記と同様に、ウィルス感染より声帯に炎症を生じて嗄声(声がれ)や、咽頭痛の原因となります。その他に声の酷使により二次的に生じるときがあり、放置すると声帯ポリープの発生原因となります。

急性喉頭蓋炎

喉頭蓋は、それぞれ舌骨、甲状軟骨と靱帯で結ばれており、嚥下の際に喉頭腔のフタの役目をします。喉頭蓋が機能しているので、人は食事の際に食物等が気管、肺へ入り込まずにむせないのです。急性喉頭蓋炎は、この喉頭蓋の炎症であり、咽頭痛や嚥下時痛を引き起こします。重要なのは、喉頭蓋が炎症により浮腫(むくみ)を起こすと、窒息の可能性があるということです。

真珠腫性中耳炎

真珠腫性中耳炎は多種の中耳炎の中でも、その骨破壊性から特に注意の必要な疾患です。真珠腫は病理学的には、ケラチン(角化物質)が中耳内に蓄積することにより、中耳の炎症を生じる疾病です。ある程度の年月を経て中耳腔内にケラチンが蓄積すると、中耳腔を形成している骨が破壊され、中耳腔に隣接する臓器に影響を及ぼし症状が出現します。例えば耳小骨が破壊されることにより難聴、顔面神経幹が破壊されて顔面神経麻痺、外側半規管が破壊されめまい、頭蓋底が破壊され髄膜炎等です。治療は手術による除去ですが、病気自体の進行が遅く、罹患していても本人は難聴以外自覚していないケースも多く認めます。

浸出性中耳炎

浸出性中耳炎は小児に多い耳疾患で、耳と上咽頭を結ぶ耳管機能が低下することにより、中耳腔内圧が低下して生じる中耳炎です。一般的に風邪に合併する急性中耳炎と異なり、痛みを訴える事は少なく、難聴と耳閉感が主な症状で、小児の場合は急性中耳炎の後に合併するケースが多く認められます。この理由は小児では解剖学的に耳管の発達が未熟で、耳管自体の炎症→浮腫→狭窄を生じやすいことや、アデノイドが小児期には肥大しており、これが耳管開口部を圧迫している為です。治療は根気よく耳鼻科に通い、その都度通気療法を行うか、ventilation tubeを鼓膜に挿入し換気を行うことです。

耳垢塞栓

一般的に言われている耳あかが外耳に蓄積し、外耳道を閉鎖した状態です。この状態は耳栓をしているのと同じなので難聴を生じます。一般的に耳掃除をするときは耳あかが除去できる時もありますが、反対に鼓膜側に押し込んでいる時もあるため注意が必要です。専門医が顕微鏡で観察してとった方がより効果的です。

急性中耳炎

細菌感染(肺炎球菌、インフルエンザ菌)などにより中耳腔内に急性炎症を生じた状態です。鼓膜の発赤・腫張を認め、極度の耳痛を訴えます。又、場合により中耳腔内に膿みが蓄積することもあります。起炎菌に効果のある抗生剤の投与が必要で、最近では抗生剤(ペニシリン)に耐性の菌も出現してきているので菌培養検査などの注意が必要です。

頭頚部腫瘍

甲状腺腫瘍

甲状腺は気管前面に位置しているホルモンを分泌する組織です。甲状腺のホルモンの分泌が低下すると体の活発性が低下してきます。又、甲状腺機能が亢進するとバセドウ氏病のように体の代謝が亢進します。この部位に腫瘍ができるのが甲状腺腫瘍です。悪性や良性の腫瘍ができるので画像検査等が必要です。

副鼻腔腫瘍

副鼻腔とは鼻の周りにある小さい空洞の集まりで、上顎洞、篩骨洞、前頭洞を総称した呼び名です。それぞれ目の下、目の間、目の上に存在し、その部位に腫瘍ができたケースが副鼻腔腫瘍です。この部位にできる腫瘍には良性腫瘍(乳頭腫、腺腫、血管腫、骨腫)や悪性腫瘍(扁平上皮癌、移行上皮癌、リンパ上皮腫)もあり、鼻出血が続くような症状があったらCT、XP等での精査が必要です。

耳下腺、顎下腺腫瘍

耳下腺、顎下腺という大唾液腺に腫瘍ができる場合で、良性腫瘍(多形腺腫、単一形腺腫)や悪性腫瘍(腺癌、腺様嚢胞癌、類表皮癌)等があります。初期には症状はほとんどなく、頸部が腫れてくるぐらいですので少しおかしいとおもわれたら、耳鼻科専門医を受診された方がいいと思います。

中咽頭腫瘍

中咽頭とは、口蓋垂(のどちんこ)の裏側と両側口蓋扁桃に囲まれている部位です。この部位に腫瘍ができる時があり、悪性のケースでは組織学的に扁平上皮癌、悪性リンパ腫、腺様嚢胞癌などがあります。悪性の場合で大きさが小さく、切除可能なものは切除した方がいいのですが、切除不可能な物はまず抗ガン剤、放射線で減量させ、最終的に残ったガン細胞を切除するというのが一般的な治療法となります。

下咽頭腫瘍

下咽頭とは食道の入り口にあたり、喉頭とほぼ同レベルの高さに存在する部位です。ここには癌腫の他に、希に良性腫瘍もできます。嚥下困難、咽頭違和感等がありましたら内視鏡検査で精査をした方がいいと思われます。

上咽頭癌

上咽頭は前面を鼻腔、後面を咽頭粘膜(アデノイド)、側面を耳管、耳管隆起で覆われた部位です。この部位の上皮から悪性腫瘍が発生することがあります。この上咽頭癌は、昔からEBウィルスとの関連が示唆されていて、ガン細胞からあってはいけないEBウィルスのDNAが検出されています。いわゆるウィルスによる発ガンの可能性が考えられています。特にこの病気は地域性があり台湾や中国の一領域に多く認められています。

鼻疾患

鼻アレルギー(花粉症)

日本においてスギ花粉やヒノキ、カモガヤ、ブタクサ等の樹木によるハナのアレルギー症状を訴える人は増えており、これら樹木の花粉の飛散時期には毎年鼻閉、鼻汁、くしゃみ等で悩まれる方がいらっしゃいます。一般にこれらの症状が出現してから来院される方がほとんどですが、飛散時期以前から抗アレルギー剤の内服を開始した方が症状の重症度を抑えられると言われています。一度花粉により鼻粘膜でのアレルギー反応が起きてしまうと、これを沈静化させるには強い抗アレルギー剤や数種類の抗アレルギー剤を内服しなければならないケースも見られます。又、最近では飛散時期前に鼻粘膜へのレーザー照射を行うと飛散時期の症状を軽減できるとの報告もあります。

副鼻腔炎

副鼻腔は一般的に”蓄膿症”といわれている疾病の膿の貯まる場所です。副鼻腔は小さい空洞の集まりで、目の下や目の上、目の間に存在しています。ここは正常時は空気が存在しいるだけですが、空洞表面の粘膜に細菌感染やウィルス感染を生じて粘膜炎を生じると、粘膜より排出される膿が蓄積してしまう疾患です。感受性のある抗生剤の投与で治癒する場合もありますが、膿の蓄積がひどいときは上顎洞穿刺などを行い排膿しなかればならないときもあります。